Interview

【インタビュー】浪川大輔ベストアルバム「N.D.」リリース記念インタビュー

2025.06.27(Fri)

2010年にアーティストデビューをはたし、今年音楽活動15周年を迎えた浪川大輔が初となるベストアルバム『N.D.』をリリース。選曲への想いや再レコーディングで感じたこと、さらには新曲『WAVER』の制作秘話など、アルバムに込めたすべてをたっぷりと伺いました。

15年間の総括として、アルバムタイトルもストレートなものに

――浪川さんにとって初のベストアルバムがリリースされました。まずは完成した今の気持ちをお聞かせください。

浪川大輔　音楽活動を15年やってきて、一つの集大成という形でこのアルバムを制作することになったわけですが、僕の音楽を長年応援してくださっている方もいれば、反対に、最近好きになったという方もいらっしゃいます。そうした、全ての人たちが楽しんでいただける自分の代表曲をまとめた一枚になったなと感じています。
また、こうして過去の楽曲たちを振り返る時間をもらえたことで、一旦思い出の整理整頓ができましたし、“こんなにも素晴らしい曲たちに支えられてここまで来たんだ”といった喜びもあり、本当に作ってよかったなと思っています。

――今回は既存曲をまとめただけでなく、再び歌をレコーディングし直されたそうですね。

浪川　ええ。もともと予定にはなかったのですが、過去の曲を聞き直したとき、“当時はこんなふうに歌っていたんだ”、“もし今、歌い直したらどんな感じになるのかな”という興味が湧いてきて。それで、せっかく15周年という節目に出すのであれば“今”の自分を表現したいと思い、提案させてもらいました。どの曲もライブで何度も歌ってきているので自分なりに経験値が上がっていますし、気持ちの込め方もきっと当時とは異なっているはず。今の想いが再レコーディングすることでファンの皆さんに少しでも伝われば、という思いも込めました。

――実際に再レコーディングをしてみて、どのような変化を感じましたか？

浪川　楽曲自体の変化で言えば、レコーディング過程で歌詞が変わっていったものがあるんです。「イエローマン」はまさにそうで。ほんのちょっとだけですが、オリジナルから変えています。また、コール＆レスポンスもファンと一緒にライブで作り上げていった要素が大きいので、そこも少し変化を加えていただきました。あとは、古い楽曲であればあるほど、僕自身の歌い方に違いを感じました。なかには、“こんなにも難しい歌をよく当時歌えていたな!?”って驚くこともあって（笑）。

――あらためて譜面どおりに正確に歌おうとすると、その“縛り”が難しさに感じられたのかもしれませんね。

浪川　確かにそれはあったかもしれないです。でも、再レコーディングは思った以上に大変さがあったものの、先ほどもお話ししたように何度もライブで披露してきた曲たちでもあるので、歌っていると会場で楽しそうにしている皆さんの顔が浮かんできて、すごく楽しい作業でした。

――なお、アルバム名は浪川さんのイニシャルである『N.D.』。とてもストレートなタイトルですが、これにはどのような思いを込めたのでしょう？

浪川　2010年にリリースしたデビューミニアルバムのタイトルが『I.D.』でした。当時は、“浪川大輔ってこんな人間です”ということを表現したくてこのタイトルにしたのですが、それ以降もたくさんの楽曲との出合いがあり、それぞれが紡がれていった結果として、今の浪川大輔がある。それを総括する言葉として何がふさわしいかを考え、最終的に素直に自分のイニシャルをタイトルにしました。

――タイトルはすぐに決まったのですか？

浪川　いや、最初はすごく悩みました。いつもタイトルを決めるときって苦労するんです（苦笑）。ギリギリまでいいアイデアが出てこなかったりして。ただ、今回に関しては“どれだけ頭を捻っても、きっとこれ以上の言葉は出てこないだろうな”と思い、そこからは早かったです。それぐらいアルバムのコンセプトに合っていると感じていますし、自分の中でもしっくりときているので、すごく気に入っています。

いろんな音楽を楽しんでもらいたくて、あえて選曲のジャンルはバラバラに

――収録曲についてお伺いしますが、「ELEVATION」はファン投票で１位に選ばれたものでした。この結果についてはどのように感じていらっしゃいますか？

浪川　ちょっとだけ意外でした。というのも、これまでイベントなどで人気曲のアンケートを取ると「UTAO」が1位になることが多かったんです。浪川大輔の代名詞のような曲ですし、楽しい歌なので人気があるのもすごくわかる。その点、「ELEVATION」は楽しさというよりカッコよさのある曲なので、その意味では、多くの方がロックな浪川大輔を求めてくれているというのがわかったことが嬉しかったです。
それに、「UTAO」は僕の1stシングルですし、「ELEVATION」も2016年の4thミニアルバムに収録されたリード曲。時間を経てもなお、多くの人に愛されているというのは幸せなことだなと感じました。

――ちなみに２位以下の楽曲に関してはいかがでしたか？

浪川　上位に入っていた楽曲はどれもライブで盛り上がるものばかりでしたし、“やっぱりこれが人気なんだな”と感じられる結果でしたので、みんなと僕の間でズレがないことにホッとしました。ただ、「俺にはおっさんが見えている」にもいくつか票が入っていたんですよ。それはさすがに１位では…（笑）。

――（笑）。いや、もしかしたらあの曲に心を救われた方がいたのかもしれませんよ。

浪川　確かに。もちろんすごくいい曲ですし、そうだと嬉しいなぁ。……でも、あの曲に救われたという方が本当にいるのであれば、ぜひそのエピソードを聞いてみたいです（笑）。

――また、ベストアルバムには「ELEVATION」以外に、「空色追想歌」「UTAO」「Hurricane Rock Star」「TRISING!」「イエローマン」といった既存曲が収録されています。これらもアンケート上位の中から選ばれたのでしょうか？

浪川　それもあります。ただ、今回は僕たちが作ってきたいろんな音楽を楽しんでもらいたくて、あえてジャンルがバラバラになるようにセレクトしていきました。このベスト盤を入口に、過去の楽曲たちを掘り下げていくきっかけになってくれたらいいなと思ったんです。

――なるほど。とはいえ、浪川さんの音楽は多彩なうえ、人気曲も多いので、選曲はかなり悩まれたのではないかと思います。

浪川　相当悩みました。「JAM packed TRAIN」や「なりたいありたい」、それに「Recollection」なども候補に挙がっていましたから。そうした中から５曲に絞り込んでいくのは本当に大変で。でも素敵な曲が多すぎて悩めるってすごく贅沢なことで、あらためて幸せな気持ちになりました。

新曲『WAVER』は大切なバンドの仲間と作った、僕の原点とも言えるハードロック

――そして、アルバムのラストを飾るのが新曲の「WAVER」です。これはどういった経緯で制作が決まったのでしょう？

浪川　僕が以前からずっと言い続けていることですが、アーティストとしての浪川大輔はバンドの「NONSTRESS」に育ててもらった側面がすごく大きいんです。音楽活動を始めた頃は多少のメンバーチェンジがあったものの、今のメンバーで多くの時間を過ごし、たくさんの絆も生まれました。楽しいことも大変だったことも一緒に乗り越えてきたメンバーであり、僕にとっては誰一人欠かすことのできない方たちなので、そんな大切な仲間が作る新曲をメモリアルなベストアルバムに入れたいという思いが最初から僕の中にあったんです。

――だからなのか、まさにバンドとしてのグルーヴ感に溢れた楽曲だなという印象を受けました。

浪川　すごく嬉しいです。目指したのも“ザ・バンド！”と感じてもらえるものでしたから。

――曲の方向性は浪川さんから提案されたんですか？

浪川　はい。ロックは僕の原点とも言えますし、そうは言いつつ、実は最近あまりハードな曲を作っていなかったんです。それもあって、自分の根っこに立ち返るような曲を作ってみたいという思いがありました。

――言われてみると、確かに最近はロックサウンドから少し離れていましたね。

浪川　かなり久々だったので曲作りはものすごく楽しかったです。ハードな分、キーはギリギリのところを攻めていてレコーディングでは倒れるかと思いましたけど（笑）。

――（笑）。また、この「WAVER」では佐藤優さんと共作という形で作詞もされています。これも浪川さん自らが書きたいと？

浪川　そうです。メロディ自体はベーシストのHIROTOMO君が作ってくれたのですが、「NONSTRESS」のメンバーが集結して最終的な世界観を生み出してくれた曲なので、それならば僕が歌詞を書くべきだなと思って。……ただ、めちゃくちゃ大変でした（苦笑）。

――それはどういった大変さだったのでしょう？

浪川　上手く言葉が見つけられなかったんです。これまでにも「イエローマン」（※宮崎誠、小鳥との共作）や「なりたいありたい」で歌詞を書かせていただいたことがありますが、それらは普段から自分で使っているような、僕らしい言葉で綴ることができたんです。
でも、「WAVER」のような曲調だと、無理矢理ロックの洋服を着せたみたいな違和感のある歌詞になってしまって。そこから、いかに曲の雰囲気に合う言葉を見つけていくかに苦労しました。

――歌詞を読み解くと、もがきながらも未来に向かって進んでいくといった浪川さんらしい強さが詰まった世界観になっているなと感じました。

浪川　確かにそう思われるかもしれません。実際にそういったことを表現した言葉もありますし。ただ、最初から一貫してテーマとしてあったのは、“情報過多の世界”についてでした。ここでの〈WAVER〉とは“波に立ち向かっていく人”という意味で使っていて、今の時代、目や耳に入ってくるニュースはどれが真実でどれが嘘かわからなくなってきている。そうしたさまざまな情報が飛び交う大海原の中で、次々と押し寄せてくる情報の波をいかにして掻き分けて進んでいけばいいのかということを歌にしたかったんです。ですから、歌詞の１番には〈水の中〉というフレーズが出てきますし、２番では海から地上に出たはいいけど、“はたしてここはどこなんだ？”と、またもがいていく……そんな様子を表現しました。

――今のお話しを聞くと、歌詞にある〈陽炎〉という言葉からも、目の前にあるものが現実なのか幻なのかわからないといった怖さが感じられます。

浪川　まさに。ただ、この〈陽炎〉は温もりの象徴でもあるんです。陽炎って実態がないだけに怖さがありますが、それでも触れたくなる。そして、いざ手を伸ばして触れてみると、そこから温もりが感じられるんじゃないかという気がしていて。それに、この温もりはいわば僕にとっていつも応援してくださるファンの皆さんのことであり、皆さんにとっては身の回りにいる大切な人を指しているんです。やはり誰かと温もりを与え合うことって人が前に進むために必要であり、大切なものだと思いますし、それがあるから人間は強く生きていける。その想いを歌詞に込めました。

これからも多くの人の心を満たせるものを作り続けていきたい

――また、今回のベストアルバム『N.D.』には通常盤の他に豪華盤も用意され、そちらには撮り下ろし映像の「15th Anniversary Special Interview」も収録されています。ベストアルバムの楽曲やこれまでの15年間の音楽活動を振り返っていますが、ご自身でご覧になっていかがでしたか？

浪川　長い！　とにかく長い!!（笑）　声優の仕事では役や作品についてたくさん語る機会がありますが、自分自身についてあそこまで話すことってほとんどないです。だらか、なんだか“自分大好き人間”みたいに思われやしないかと、ちょっと心配になりました（笑）。

――そんなことはないと思います（笑）。

浪川　だといいんですけど。あらためてこの15年もの間にいろんなことをしてきたんだなと実感できたのが良かったです。ときにはライブで悪ふざけのようなパフォーマンスをすることもありましたが、毎回本気で挑んでましたし、どれもが一生懸命だったんです。そうした15年間の経験の一つひとつが繋がって今があるんだと、自分の活動を見つめ直す機会にもなりました。その意味でも、ものすごく見応えがあり、僕にとっても大切な映像になっています。ただ、何度も言うように本当に長いので心して見ていただければと思います（笑）。

――今お話しにあったように、浪川さんはこれまで多彩な楽曲やライブパフォーマンスで数多くの世界観を生み出し、ファンを魅了してきました。そこであらためて伺いたいのですが、浪川さんにとって“エンターテイメント”とは何でしょう？

浪川　生きていくうえで不可欠なものだと思っています。生活していくために衣食住が必要なのはもちろんですが、そこに付随して政治や経済も欠かせませんし、それと同じくらいエンターテイメントも大事だと僕は思っているんです。また、“エンタメ”って言葉にすると仰々しく聞こえますが、なにもお金がかかっていたり派手さがあるものばかりを指しているのではなく、ちょっとしたことで笑えたり、感動することができれば、僕はそれがエンタメだと感じていて。もっといえば、美味しいご飯を食べるとか、好きな服を着て一日過ごすといったことでもいい。心が豊かになることがエンタメであり、そうやって気持ちに余裕を持つことが、生きていくうえですべてをプラスの方向に導くことに繋がっているんじゃないかなって思うんです。

――確かにそうかもしれません。

浪川　ですから、その気持ちを大切にし、僕も多くの人の心を満たせるものを届けていきたいといつも思っています。照れくさいのであまりちゃんと言葉にしたことはないのですが、活動するうえで、つねに大事にしていることですね。

――では最後に、音楽活動15周年という節目を迎えた今、浪川さん自身が未来の“アーティスト・浪川大輔”に期待することとは？

浪川　そうだなぁ……。期待というよりお願いになりますが、「もっと歌が上手くなっといて」と未来の自分に言いたいです。逆に未来の自分から、「今のお前が頑張れよ」ってツッコまれそうですけど（笑）。でもこれは冗談ではなく、歌が上達すれば表現できることの幅も広がると思うので、そこに期待しています。あとは……やはり今と変わらずいろんなことに挑戦して、楽しく過ごしていてほしいなと思います。小さなことで１番になって喜ぶのではなく、もっともっと自分にできることを模索して、それを楽しんでいてほしい。辛いこと、大変なこともあるでしょうけど、それを全部笑いに変えられる人でもあってほしい。それが未来の自分に望むことです。まだまだ全然たどり着けていませんが。

――そうなんですか？　ちなみに、今は理想とする自分に何％ぐらいたどり着いているのでしょう？

浪川　本当に目標としている姿が100だとすると12％くらいです。そう考えると、たどり着けるのは来来世くらいかもしれない（苦笑）。けど、それでも自分を裏切りたくないですし、理想に向かって進み続けることが大事だと思っているので、この先はたしてどんな未来が待っているのか、楽しみにしたいと思います。

Interview & Text by 倉田モトキ

10月と11月に東京・大阪でファンミーティングの開催が決定し、2026年1月7日(水)にはミニアルバムのリリースも決定。
さらに2026年1月から3月にかけて全国8カ所を巡るライブツアーの開催も発表され、勢いよく16年目のスタートを切った浪川大輔の今後の活動にも是非ご注目ください！

浪川大輔ベストアルバム「N.D.」発売中！

豪華版

品番：LACA-35162
価格：￥5,500 (10％税込)/￥5,000 (税抜)
仕様：CD+BD

通常盤

品番：LACA-25162
価格：￥2,750 (10％税込)/￥2,500 (税抜)
仕様：CD

＜初回生産分封入特典＞※豪華盤・通常盤共通
ランダムフォトカード (全3種のうち1種)

＜INDEX＞
1．空色追想歌 (Rerecorded)　作詞：MIKOTO　作曲・編曲：宮崎誠
2．UTAO (Rerecorded)　作詞：森月キャス　作曲・編曲：Kohei by SIMONSAYZ
3．Hurricane Rock Star (Rerecorded)　作詞：Mio Aoyama　作曲・編曲：宮崎誠
4．ELEVATION (Rerecorded)　作詞：喜介　作曲・編曲：R・O・N
5．TRISING! (Rerecorded)　作詞：ミズノゲンキ　作曲・編曲：R・O・N
6．イエローマン (Rerecorded)　作詞：浪川大輔、宮崎誠、小鳥　作曲・編曲：宮崎誠
7．WAVER　作詞：浪川大輔、佐藤優　作曲・編曲：HIROTOMO

商品の詳細はこちら⇒ https://kiramune.jp/news/8573

浪川大輔 8thミニアルバム1/7（水）に発売決定！

発売日：2026年1月7日(水)

【豪華盤(初回生産限定)】
品番：LACA-35233(CD+BD)
価格：5,500円(10%税込) / 5,000円(税抜)
内容：CD(7曲収録)＋BD

【通常盤】
品番：LACA-25233(CDのみ)
価格：2,750円(10%税込) / 2,500円(税抜)
内容：CD(7曲収録)

＜初回生産分封入特典(豪華盤・通常盤共通)＞
ランダムフォトカード(全3種の内１種封入)

浪川大輔ファンミーティング開催決定！

Kiramune Presents Daisuke Namikawa 15th Anniversary Fan Meeting（仮）

【日程・会場】
東京公演　2025年10月11日(土)　IKUSA ARENA
大阪公演　2025年11月9日（日）　朝日生命ホール

浪川大輔15周年ライブツアー開催決定！

Kiramune Presents Daisuke Namikawa 15th Anniversary Live Tour（仮）

【日程・会場】
大阪公演　2026年1月31日(土) GORILLA HALL OSAKA
静岡公演　2026年2月7日(土) LIVE ROXY SHIZUOKA
神奈川公演　2026年2月21日（土）横浜Bay Hall
宮城公演　2026年2月28日(土) 仙台Rensa
愛知公演　2026年3月7日(土) THE BOTTOM LINE
福岡公演　2026年3月14日(土) 福岡トヨタホールスカラエスパシオ　
広島公演　2026年3月15日(日) 広島LIVE VAINQUISH
東京公演　2026年3月29日(日) Zepp Shinjuku (TOKYO)

浪川大輔Profile

子役時代から声優として活躍し、アニメから洋画の吹替えまで様々な役を演じる実力派声優。
代表作は「スター・ウォーズ」シリーズのアナキン・スカイウォーカー役等、多数。
俳優としても活動し、映画監督に挑戦する等幅広く活動中。初監督作品「Wonderful World」（2010年6月19日公開）

HP・SNS

浪川大輔X：https://x.com/namidai0402
浪川大輔Instagram：https://www.instagram.com/namidai0329
Kiramune浪川大輔アーティストページ：https://kiramune.jp/artist/namikawa/
Kiramune公式X：https://x.com/Kiramune_twit

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