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【インタビュー】グループ記念日楽曲 IDOLiSH7「UNFOLDiNG HARMONY」配信記念!作家インタビュー│イワツボコーダイ

IDOLiSH7のグループ記念日である6月10日に各種音楽配信サービスにて配信がスタートした「UNFOLDiNG HARMONY」。
本楽曲の作詞・作曲・編曲を担当したイワツボコーダイに、IDOLiSH7のイメージや物語を感じさせる楽曲展開、素直な言葉に込められた想いなど、「UNFOLDiNG HARMONY」の楽曲制作秘話や聴きどころを語っていただいた。

Interview & Text by 許士明香

――まずは、6月10日に公開となるIDOLiSH7記念日楽曲「UNFOLDiNG HARMONY」の制作を手がけることになったきっかけを教えてください。

イワツボコーダイ ある日、「IDOLiSH7の記念日楽曲をお願いできませんか?」というメールが届いたんです。
これまでお付き合いがなかったですし「あのIDOLiSH7の曲を、僕が?」とびっくりしました。とても光栄なことなので「ぜひお願いします」とお返事して、その後制作陣と具体的な話を進めることになりました。

――どのようなことを最初に話し合ったのですか?

イワツボ 『アイドリッシュセブン』(以下『アイナナ』)が10周年という情報はあるけれど、僕にはその先の展開などはわからない。「積み上げてきた絆を繋いでいく」「これからも挑戦し続ける」というコンセプトを伺って、「この先も進化するんだ」と知るところが最初でした。
それをもとにまず1曲、自分なりに作ってみたんです。バラードよりはアップテンポで、こじんまりとしたものよりも、大きな景色が広がるような曲を意識しました。

――その曲が、今回の「UNFOLDiNG HARMONY」ですか?

イワツボ いえ、それはまた別の曲なんです。
しばらくしてIDOLiSH7の新しい衣装イメージや、モチーフとなる素材と一緒に送っていただきました。それを見て「新しい曲を作ろう」と書き直したんです。
いただいた資料には、「夜」や「剣」などのキーワードが書かれていました。最初の楽曲をベースに新たな要素を組み込んでいくことも考えたのだけど、途中で「別の新しい曲を作ったほうがいい」と考え直し、夜を感じる大人っぽい曲として完成したのが「UNFOLDiNG HARMONY」です。

――そのキーワードは、どのように曲に反映されていますか?

イワツボ アイナナには「葛藤の物語」という印象があるんです。表では笑っているけれど、裏にはいろんな問題がある。その影の部分を“夜”と捉えました。
夜の世界から、夜を剣で切り裂いて、明るいほうへ進んでいく。そんな音楽の旅を描いていくイメージで制作をしました。

――AメロBメロは、IDOLiSH7のメンバーを彷彿させるような展開ですね。

イワツボ ここは歌割りの力も大きいと思います。
僕が書いた時点では、特定のシーンは見えていなかったんです。でも歌割りを見たときに「この言葉をこの人が歌うなら、あの場面かな」と広がりを持たせてくれたように感じたんです。
例えば、一織が「指をすり抜け 溢れた涙」と歌ったことで、僕も「あのシーンかな」と思ったりもして。

――Aメロ最後の全員で歌う「物語」で、スイッチが切り替わるような印象を受けました。

イワツボ コードもそこで明るくなっていくんですよ。イントロからAメロにかけては夜だったけれど、ここから希望が差し込んでくるイメージです。

――イントロでも使われている鳴き声のような音も耳に残りました。

イワツボ あれは声素材を感覚で入れてみたものなんです。
MIXのときに制作の方から「これは陸くんの声?」と聞かれたんですよ。「違います、シンセ音です」と(笑)。

――聞き馴染みのない音は、想像を広げてくれますね(笑)。
気になるのが、2番サビ後の「、の先へ」というフレーズ。ここにはどのような意味を込めていますか?

イワツボ 作品が10周年を迎える年の記念日楽曲ということだったので、“点”を“10”(TEN)にかけてみました。
それと、読点(「、」)にすることで「続きがある」と伝えたいなと思いました。
まだまだ通過点でその先もあるよ、句点(「。」)にはならないんだよと。

――ラストの「僕らはいつも ここに」では、「僕らはいつも」がセリフになっていて、IDOLiSH7の言葉が直接胸に響くようでした。

イワツボ セリフあり・なしの2パターンを用意して、制作チームに選んでもらったんです。結果、セリフありが採用されました。
今回、IDOLiSH7には抽象的ではなく素直な言葉を使いたいと思い、ストレートな言葉にしたんです。

――それは、どのような思いから?

イワツボ デビューからIDOLiSH7を見続けてきた人がたくさんいるけれど、もしかしたら途中で離れた人もいるかもしれない。10年というのは、かなりの年月ですから。
そんな人にも届くように、誰が聴いてもわかる、素直な言葉にしようと。

――制作をしながら悩んだところはありますか?

イワツボ どうしようかと考えたところもあれば、すらすら出てきたところもあります。イントロは結構考えましたね。
IDOLiSH7にはカラフルな印象があったので、「夜」や「剣」などのキーワードが持つイメージとどう合わせていこうか、と。
きっとIDOLiSH7はダークなイメージの曲を歌ったとしても、ダークな曲だけを歌う人とはまた異なる印象を与えてくるはずです。ここはいろいろ試しつつ、こうすると気持ちいいな、と思うところを見つけて作っていきました。
逆にサビは韻を踏みながら、流れるように進めていった記憶があります。

――サビの畳み掛けるような展開は、聴いていて気持ちいいですね。

イワツボ 僕も個人的にこういう曲が好きなんです。気持ちいいですよね。ここは歌詞もクセになる感じを目指して書いていきました。
ちなみにサビの部分は途中まで全員で歌って、最後の3行は2人・3人・2人という歌割りになっているんです。2人が歌った後にくるっとターンして3人が出てきて、歌ったあとはまた次の2人に繋いでいく。そんな姿が目に浮かぶようで、素敵だと思ったんですよ。

――パフォーマンスを想像すると、ワクワクしますね。

イワツボ 楽しいですよね。
最初は暗い照明から始まって、だんだん光が差し込んでいく。最後は全員が笑顔で「僕らはいつもここに」と歌って、アウトロではメンバーが手を伸ばすのかな、とか。

――ただ、歌唱の難易度は高そうです。

イワツボ そうですね……(笑)。サビの部分は特に難しかったのではないかと思います。
でもIDOLiSH7がステージで歌っていたら、とても楽しいものになると思って、「ぜひ歌ってください!」と希望を込めて(笑)。

――歌声の印象はいかがでしたか?

イワツボ キャストのみなさんが想いを込めて歌ってくれていて嬉しかったです。
声が高い人も低い人もいて、みんな声が違う、彩り豊かなグループですよね。今回、歌声を聴いて、ストーリーを感じる声だなと感じたんです。
そう感じたのは、アニメを観て、IDOLiSH7の裏側も知っているからなのかもしれない。アイドルの裏側まで見ることって、なかなかできないじゃないですか。でも彼らはどんなことが裏で起こっているのか、普段何を喋っていたのか、声には出していない心の内までもこちらに見せてくれる。多くのことを知ってから聴くからこそ、歌声の一つ一つが物語を見せてくれているな、と。
あと、7人が声を合わせるとすごくまとまりがよくて、重すぎず軽すぎないのも魅力ですよね。一聴してこれがIDOLiSH7の声だな、って思わせてくれます。

――イワツボさんは多くのアーティストに楽曲提供をしていますが、アイドル楽曲を手がける際に、特に大事にしているところは?

イワツボ ライブのステージでこの曲を観ているファンの方の気持ちを想像することですね。
どういう言葉が心に届くだろう、自分がファンだったらどんなフレーズに心を動かされるだろう、どんな姿を見たいかな、そんな視点を大事にしています。

――イワツボさんは、アイドルがお好きなのですか?

イワツボ そうですね。アイドルという存在が好きです。
ただ、今誰かを大好きというよりは、若い頃の気持ちを引っ張りだして、その昔仕事とか関係なく、ただ純粋にときめいていたときの気持ちを思い出しながら作っていることのほうが多いかもしれません。「この曲を聴いて、昔の僕のようにときめいてくれる人がいるかな?」と。
もちろんプロの音楽家として、今世間に響いている音楽を分析したり、それを取り入れることもあるのですが、ただ得た知識だけで作ってしまうと、聴き手の心に響かなかったりもするんですよね。あの頃の自分が大好きだったものとか、当時心を打たれたときの感覚を持って作ったほうが、いい評価をいただけたりもして。

――それがイワツボさんの楽曲の個性にもなっている?

イワツボ 僕らはそれぞれに青春時代があって、好きだったものはバラバラじゃないですか。そこを強みにしてやった方が、きっと個性が出るんだろうなと。
過去の好きなものって、もう変えようがないじゃないですか。今、好きなものは変えられるけど、昔好きだったものは変わりようがないし、きっとそれがイワツボコーダイっぽい曲として評価いただく要素になっているのかなと。

――アーティストによって、またオーダーによってさまざまなタイプの曲を制作していくと思いますが、思考の切り替えはどのようにしていますか?

イワツボ MVや映像をたくさん観ますし、アーティスト写真もよく眺めます(笑)。
今回も、IDOLiSH7のビジュアルをじっと見ながら曲を書いていきました。アイドルが好きなので、「この人にはこれを歌ってほしい」という、ある意味エゴな視点で作ることもありますね。
ただ僕はどんなタイプでも感情移入できるので、どうしようかと悩むよりも、まずは「楽しもう」という気持ちで臨みます。

――では、今回の楽曲は?

イワツボ 「作品の10周年で、ダークか……よし、楽しもう!」と。
IDOLiSH7の曲を作るのは初めてですが、すごく楽しかったです。生みの苦しみはもちろんあるけれど、やっぱり楽しんで作れたものは、自分でもいいものになったなと思えるんですよ。
この曲は、飽きずに聴けるものになったと思っているんです。それはこの曲に、歌声の力が加わったのも大きいと思いますね。自分の曲なのに、完成したものを何回も聴いたりもして。

――このインタビューが公開されるのは、楽曲の公開日になります。どんな反応が来るのか、楽しみですね。

イワツボ そうですね。ファンの方って、この歌詞には、この音にはどんな意味があるのだろうと考えてくださるじゃないですか。自分が作っていたときには意識していなかったけれど、その解釈を聴いて「そうかもしれない」と思うことも多いんですよ。
この感覚はとても新鮮で、作り手にとってリリース後の楽しみでもあるんです。この曲も、そうやってみなさんに味わっていただけたら嬉しいですね。

グループ記念日楽曲 IDOLiSH7「UNFOLDiNG HARMONY」配信中!

「UNFOLDiNG HARMONY」
作詞:イワツボコーダイ作曲・編曲:イワツボコーダイ・Kuwagata Fukino
歌:IDOLiSH7

【配信サイト】
https://lnk.to/LZC-3090

「アイドリッシュセブン」公式サイト:http://idolish7.com
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