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【対談インタビュー】グループ記念日楽曲 Re:vale「Tenuto」配信記念!作詞家・作曲家インタビュー│結城アイラ×中土智博

Re:valeのグループ記念日である4月15日に各種音楽配信サービスにて配信がスタートした「Tenuto」。
楽曲制作秘話と聴きどころを、本楽曲の作詞を担当した結城アイラと作曲・編曲を担当した中土智博にインタビュー。
“Re:valeっぽさ”を大切にした歌詞とサウンド、『アイドリッシュセブン』10周年イヤーへの想い、更に『アイドリッシュセブン』と共に挑戦を続ける作詞家・作曲家としての成長についても語られた。
Interview & Text by 許士明香
――4月15日にRe:vale記念日楽曲「Tenuto」が公開されました。楽曲タイトルの「Tenuto」は結城さんの発案だそうですね。
結城アイラ 歌詞を書くより先に、タイトルを考えたんです。10周年という節目となる年の最初にRe:vale記念日が来るので、1発目の曲として象徴的なタイトルにできたらいいなという想いから、10(TEN)にまつわる言葉を探しました。その中で見つけたのが、「Tenuto」という言葉でした。
「Tenuto」は、「音の長さを十分に保って演奏しましょう」という意味を持つ音楽記号です。楽譜には省略して「ten.」と記されることもあるんですよ。また、「Tenuto」はイタリア語で“保つ”、“支える”という意味も持つワードでもあって、お互いを支え合うRe:valeらしさもあります。加えて『アイドリッシュセブン』(以下『アイナナ』)というコンテンツがこの先も保たれてほしいという想いも込めました。
――二重にも三重にも意味を持つタイトルなのですね。音の部分はどのように制作を始めたのでしょうか。
中土智博 最初に音楽制作担当者とどういう楽曲がいいか打ち合わせをし、参考になる資料をいただいたんです。まずはその資料を元に考え始めたのですが、そのまま作るのは面白くないなと思い、一度忘れることにしました(笑)。
打ち合わせ中に「挑戦し続けるプロジェクト」というお話があったので、ならば安牌な方向へ行くのはよくないという枷を自分に掛けて、改めて考え始めました。
僕はRe:valeというグループに二面性があると感じていて、それを表現して出来上がったのが、この曲になります。
――どのようにその二面性を表現されたのでしょうか。
中土 一般的にはあまり使われないシンセサイザーと生楽器を組み合わせてみたり。その生楽器もバンドアレンジでよく耳にするようなものではなくて、あまり馴染みのないものを融合させてみたり。
あと、最初に1コーラスを作ったのですが、そのまま普通に展開していくのも面白くないと思ったので、1番と2番のバース部分のアレンジを変えました。1番はリズムをどんどんプッシュするような、例えばギターのフレーズが矢継ぎ早に入るような感じに。一方の2番は少し落ち着いた感じにして、うまい対比構造ができるようにしていきました。
――どこか懐かしさを感じさせるサウンドも印象的ですね。
中土 モダンな音とレトロな音を融合させています。Re:valeの持つ二面性をサウンドの面から演出するには、「新曲なのにどこか懐かしさを感じる」必要があると思ったんです。だからって古臭くなっちゃうのも嫌だし、思い切って新しい感じに振るのも違う。どちらか一方にするんじゃなくて、モダンとレトロをうまく合わせたらRe:valeっぽくなるんじゃないかと。
「Period Color」(2022年Re:valeグループ記念日楽曲/作詞:結城アイラ 作曲・編曲:中土智博)は結構攻めた曲になったので、自分の中でも対比を見せたいという気持ちもありました。なのでエレクトリックやダンスミュージックっぽさとは違う、リズムが跳ねた感じのサウンドにしたんです。
特に僕らの世代は、こういった跳ねた感じの曲に懐かしさを感じるんじゃないかなと思いつつ。
結城 まさに、めちゃくちゃ好きな感じです(笑)。
中土 よかったです(笑)。
そういう、時代を感じるけれど、同時に時代を感じさせないのがRe:valeっぽさなのかもしれないなと。
――「大好きな感じ」とのことですが、結城さんが初めて曲を受け取った際の印象は?
結城 やっぱり大好きな感じでした(笑)。中土さんが作曲と聞いて納得の、めちゃくちゃおしゃれで、短い曲なのに短さを感じさせない、もっと聴きたいって思わせる曲なんです。
曲の完成前に最初の1コーラスをいただいて、歌詞のイメージを先に膨らましておくところから作業を始めたのですが、続きを早く聴きたくて仕方なかったんですよ。しばらくして2コーラス目をいただいて、「全然違うフレーズが入ってきた⁉︎」とびっくり。
これがまたとっても素敵で、おかげで楽しく歌詞を書くことができました。
中土 僕は歌詞を見て、「アイラ先生!」と思ったんですよ。
――それはどんなところに?
中土 楽曲は一般的に、イントロの後にAメロBメロの繰り返しがあり、アウトロやブリッジでもう一度イントロのフレーズが出てきたりするんですけど、今回はそれを避けたいと思ったんです。ただ、そうするとイントロ部分だけ孤立してしまう。
でもアイラさんがイントロとアウトロに「Tenuto」というワードを入れてくれました。おかげで独立していたイントロがちゃんと意味を持つようになって、もう「アイラ先生! すごすぎ!」って。
結城 わぁー!
中土 作曲や編曲をしていると、どうしても手が届かない領域があると感じるんです。
言葉を使わないと表現できないものというか、歌詞が乗って初めて機能する部分があるんですよね。
――言葉によって意味をなす音があるのですね。
中土 絶対にあると思います。これは作曲家にはできないことなんですよ。
結城 わぁ、そう言っていただけて嬉しいです。
でもそのワードが生まれたのは、音があってこそです。中土さんが書いた曲やアレンジにインスピレーションをたくさんもらった上で、歌詞となる言葉が発生しくわけですから。
例えば、サビは跳ねた感じだから跳ねている言葉を入れてみようとか。アウトロ部分はやっぱり音に合わせて「Tenuto〜♪」が合うなとか(笑)。
中土 (笑)。言葉が持っているリズムが音にハマると、気持ちがいいんですよね。
結城 わかります。言葉と音には親和性があるんですよね。
メロディをいただくと、それを作曲家さんからのお手紙だと思いながら私は歌詞をつけているんです。今回は中土さんからのお手紙。作詞と作曲は二人三脚で曲を作っているように思います。
――そのほか歌詞を書く上で意識していたことはありますか?
結城 Re:valeもほかのグループもここまでいろいろなことがあって、それがあったからこその未来があります。記念日楽曲ですし、これまで積み上げてきた絆を繋いで未来に進んでいくような歌詞にしたいと思いながら書いていきました。
歌詞を書く際、Re:valeはとても仲間思いで、愛の深いグループということを毎回意識しているんです。それを踏まえて今回の歌詞では、「愛のウタ」というワードを入れています。
サビの英語のところは、いつ舌がもつれるんじゃないかと思うほど歌うのが難しかったとは思うんですけど……。
中土 サビは特に難しいですよね(笑)。
結城 そうなんです。せっかく音が跳ねているし、ここはぜひ英語にしたいと思ったんです。
「本当に大変かも……」と思いましたが、千役の立花慎之介さんも百役の保志総一朗さんも難なく歌っていたんですよ。「ありがとうございます」という気持ちになりました。
中土 この曲は全体的に難しいんですよね。
AメロBメロも休符から始まっていて、そこをしっかり休まないと歌に入れなかったりもして。
結城 かなりの難易度だと思います。でも、さすがのお二人ですよね。
阿吽の呼吸を感じさせるし、歌の表現もどんどん幅広くなっていて。この曲では、10周年のお祝い感のある明るい歌声で楽しく歌っているように感じて、とても素敵でした。
――中土さんはRe:vale二人の歌声を聴いてどのような印象を受けましたか?
中土 “かっこいい”と“かわいい”というか、“陰”と”陽“というか。二人の声には、陰陽マークのようなイメージがあるんです。
二人の声色が結構違うからこそ、自動的にカラフルになっていく。これは複数人で生み出すカラフルさとはまた違うんですよね。2人ならではのスイッチの切り替わりがあって、すごくいい。
ただこれはほかのグループにも言えることですが、スイッチが増えすぎると“変化している”印象が薄れるので、そこは意識しつつアレンジをしています。
――これまでの制作を経てRe:valeの印象に変化はありますか?
中土 彼らに感じる二面性みたいなものは曲を書く前後で変わっていないんです。けれど曲を書く前までは白黒だと思っていた二面性が、白黒とは違う色を持っていると気づきました。
それは歌だったり表現だったりから感じたもので、カラフルな二面性を持つ2人組という印象に変化したんです。
――結城さんはいかがですか?
結城 幅広い楽曲を生み出していて、いろいろな挑戦してきたと感じさせる、とても良い変化を遂げてきたグループではないかなと思います。
この二人は「SILVER SKY」(Re:vale 1st シングル/2016年リリース)の頃はなんとなく想いがすれ違っているような感じもありましたし、二人の間に何かがあったのかなと感じていたんです。でも今は隔てていたものがなくなって、同じ方向を向いているような印象があります。
それが関係性だけではなく、歌声や表現にも表れているように感じているんです。
――これまでの楽曲は原作ストーリーの展開を想起させるものも多くありました。
原作は一つの着地点を迎えていますが、「Tenuto」はそこから地続きの楽曲だと感じます。
結城 アイドルとしてさらに成長していろんな楽曲を歌えるようになっているし、たくさんの人と出会って、きっと彼らにはいろんな価値観が増えています。
自分たちのことだけじゃなくて、いろいろな視点を持って物事を見ている彼らだからこそ生まれる歌という意識を持って、今回も書かせていただきました。
――さて、今年は『アイナナ』10周年という節目の年になりますが、長く本プロジェクト関わるお二人にとって「10周年」はどのようなものですか?
中土 「もう?」と思いますよね。
結城 わかります(笑)。
中土 7周年までは、「やっと周年か」と思っていたけれど、今回は「もう10周年?」という感覚があるんです。
初期のほうから関わらせていただき、コンテンツが大きくなっていく様も、歌うキャストさんたちの成長も見てきました。早く感じるのは、そういったものを経て、コンテンツが熟成しているからなのかもしれないなと。
結城 10年も続き、熟成してもなお挑戦し続けていくって、すごいことですよね。止まることなく曲を出し続けることも、純粋にすごいと思うんです。
ちなみに個人的なことになるんですけど、私は作詞家としてデビューした年に『アイナナ』で書かせていただいて。
――結城さんの作詞家活動10周年でもあるのですね。
結城 そうなんです。『アイナナ』と一緒に歩ませていたただいたという気持ちもあります。
――この10年を振り返るとお二人が関わった曲も含め、『アイナナ』にはかなりの数の楽曲があります。
それらはお二人が『アイナナ』の楽曲を手がける際の刺激になることはありますか?
中土 曲を作るタイミングでは、ほかの曲を意識することはないんです。意識的にほかの曲を聴いてしまうと無意識に自分の中に残ってしまうので、それはやめようと。
とはいえ、制作以外のタイミングで聴くじゃないですか。ライブを観に行かせていただくと、自分の関わる曲とそうではない曲を比べて聴いて、「こういうことをしてもいいのか」「こういうやり方もあるよな」と思うし、影響も受けるんです。だからライブのステージングなども含めて得た印象が自分の中に蓄積されて、新しく曲を作るときに出てきているのかもしれない。
ほかの作家さんたちもそうだと思うんですけど、皆さんの中に「『アイナナ』とは」「このグループとはどういうものなのか」という、集合無意識みたいなものがあると思うんです。そこに共通する部分があるのは、これまでの楽曲が作家陣の中に自然と積み重ねてきたものがあるからなのかなと。
結城 アイドルたちはその成長とともに楽曲の世界観もより広いものになっていくので、新曲が発表されるたびに新しい風が吹くんです。その中でさまざまなクリエイターさんの才能を感じて、やっぱり刺激を受けています。
中土さんのおっしゃったように各々に「これが『アイナナ』だよね」というイメージがあると思うんです。私にもそれぞれのグループに対して「これぞ」というものがあるし、歌詞の作り方もあります。それをほかのクリエイターの方がいい意味でぶっ壊してくれて、「なるほど!」と気づきを得ることもあるんです。そこに触発されて、もっと新しいものを追求しようとか、挑戦しようと思える。
この10年関わらせていただいて、クリエイターとしても育ててもらっているんだなと感じます。
――このプロジェクト同様に、クリエイター陣も「挑戦し続ける」のですね。
結城 まさにその通りですね。
中土 20周年、というとさらに10年も先になるけれど、このコンテンツが愛され続けてほしいなと思いますよね。
結城 本当にそう思います。皆さんが応援してくれるからこそ、『アイナナ』のアイドルたちは新たなことに挑戦し続けていけるのだと思います。
その挑戦への力添えとして私も参加させていただけることが本当に誇らしいなといつも感じているので、これからもその気持ちを大切に、心を込めて音楽を作っていけたら思います。
グループ記念日楽曲 Re:vale「Tenuto」配信中!
Re:valeが歌う「Tenuto」が、グループ記念日である4月15日より配信がスタートしました!
配信スタートに合わせてリリックビデオも公開!
各配信サイトでのフルバージョンだけでなく、YouTubeでも是非お楽しみください♪
「Tenuto」を聴いて10周年を一緒にお祝いしましょう!
「Tenuto」
作詞:結城アイラ 作曲・編曲:中土智博
歌:Re:vale
【配信サイト】
https://lnk.to/LZC-3042
「アイドリッシュセブン」公式サイト:http://idolish7.com
©︎アイドリッシュセブン
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