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【対談インタビュー】グループ記念日楽曲TRIGGER「Empathy」配信記念!作詞家・作曲家インタビュー│結城アイラ×山本真央樹

TRIGGERのグループ記念日である9月18日に各種音楽配信サービスにて配信がスタートした「Empathy」。
楽曲制作秘話と聴きどころを、本楽曲の作詞を担当した結城アイラと作曲・編曲を担当した山本真央樹にインタビュー。
楽曲を受け取った際の印象やお2人が楽曲に込めた想い、そして互いに感じる細部にわたるこだわりなど、たっぷり語っていただいた。
Interview & Text by 許士明香

グループ記念日楽曲TRIGGER「Empathy」配信中!

アーティスト:TRIGGER
作詞:結城アイラ 作曲・編曲:山本真央樹
TRIGGER [八乙女 楽(CV.羽多野 渉)、九条 天(CV.斉藤壮馬)、十 龍之介(CV.佐藤拓也)]

――まずは、TRIGGERの記念日曲「Empathy」の制作のきっかけを教えていただけますか?

山本 僕が組んでいる「DEZOLVE」というフュージョンバンドの所属レーベル経由で、TRIGGERの楽曲制作のご相談をいただいたのが出発点です。バンドメンバー4人で楽器を持ち寄って作るのもすごく楽しいのですが、歌モノでは起伏の中にも統一感が求められますし、メロディにも良い意味での制限があります。であれば一人で最後まで仕上げたほうが完成度を上げられるし、どこまでも追究できると考えて、僕が担当することになりました。

*DEZOLVE
2014年に結成されたインストゥルメンタル・バンド。現メンバーは北川翔也(ギター)、友田ジュン(キーボード)、兼子拓真(ベース)、山本真央樹(ドラムス)。2016年にインディーズにてファースト・アルバム『DEZOLVE』を発表。当時平均年齢21.5歳という、新世代のインストゥルメンタル・バンドとして一躍注目を浴びる。その後2018年2月にサード・アルバム『PORTRAY』でキングレコードよりメジャー・デビュー。以降もコンスタントにアルバム・リリースをつづけ、全国規模でのライブ活動も精力的に展開中。
正統派のフュージョン・サウンドを基礎としながらも、新しい世代ならではの感性でロックやポップスなどさまざまなジャンルの音楽の要素を取り入れ、従来のジャズ/フュージョンの枠にとどまらないオリジナルな音楽を追及。老若男女を問わず高い評価を受け、幅広い層のファンから支持されている。最新アルバムは『Asterism』(2024年10月)。今年6月には初のBlu-ray『10th Anniversary Concert』をリリース。

――DEZOLVEの音楽ジャンルはフュージョンとのことですが、どのようなものなのでしょう? 

山本 ジャズとロックの融合を指すことが多いですね。コード進行やメロディがジャズ寄りだけど、テンションノートなど高度な要素を織り込むというのが、音楽でいうフュージョンです。

――山本さんは『アイドリッシュセブン』の楽曲を手がけるのは初めてとのことですが、制作はどのように進められましたか?

山本 お名前は以前から存じ上げていましたが、詳しくはなかったので、TRIGGERに限らず既発の楽曲を聴き込みました。そしてTRIGGERの3人が気持ちよく歌えそうな音域、色気が出る音、カッコよく響く帯域を見つけては書き出していき、そこから制作に入りました。

――音域を細かく調べてから作るのは、珍しいですよね。

結城 作詞で歌い分けを意識することはありますが、作曲段階からここまで音域を細かく考えて作られるというのは初めて伺いました。よく「上はここまで、下はここまで出る」程度の想定はあっても、ここまで綿密なのは驚きです。

――テーマやサウンドの方向性は、『アイドリッシュセブン』の制作サイドと事前にどのように共有されていましたか?

山本 DEZOLVEは割とソリッドでテクニカルな音楽を攻めるバンドというのもあり、「歌モノだけれど、しっかりと楽器も活かしてほしい」「ダークでスタイリッシュに」というご依頼でした。その時点でサビはカッコいい路線、調性はマイナー寄りにしようと考えました。ただ10周年というアニバーサリーの楽曲でもあるので、希望も感じられるメロディも。あと、あらかじめライブ映像をいただき、それを見ながら「いつかこの曲がライブで歌われたらどんな感じになるだろう」と想像しながら制作していきました。

――サウンド面で“TRIGGERらしさ”をどのように表現しましたか。

山本 クールで格好いい音色を詰め込みつつ、「少し悪い感じ」も滲ませたくて、基準のピッチからわずかに音程をずらした音を入れ、緊迫感や焦りを演出しました。そうすることで、結果として、声の艶がより色っぽく乗るとも思って。

――結城さんは曲を受け取ってから作詞に入ったそうですが、曲の第一印象はいかがでしたか?

結城 あまりにも素晴らしくて、一聴して「優勝した」と思いました(笑)。この曲を聴いて私も、ライブの絵が浮かんだんです。今山本さんがライブを想像しながら書いたとおっしゃっていて、答え合わせができたような、びっくりしつつも嬉しい気分です。それに、この曲のジャンルはフュージョン。TRIGGERのデビュー曲は「DIAMOND FUSION」なんです。

結城 「DIAMOND FUSION」は、3人の輝きが融合するという意味を込めて付けたタイトルです。作品の10周年を迎えるこの年に、フュージョンという言葉が巡ってくるならば、歌詞は初心への回帰にしよう。TRIGGERになる前にステージに憧れた視線から膨らませていこう、とテーマが定まりました。

山本 僕、今回の曲を作るのに一番聴いたのが「DIAMOND FUSION」なんです。

結城 そうなんですか⁈

山本 タイトルにフュージョンとあったので、「フュージョンなのかも?」と思って。実際は音楽ジャンルとしてのフュージョンではなかったけれど、先ほど話した音域や、「こんなメロディを付けたらカッコよくなりそうだな」というヒントをたくさんもらえました。

――タイトル「Empathy」は結城さんが名付けられたと伺いました。どのような想いからでしょうか。

結城 「素敵だな」と感じるものの根っこには、共感=Empathyがあると思うんです。楽曲や人を好きになるとき、その憧れに自分自身が共感する何かを見つけるから、惹かれる。まずこのタイトルを決めてから、歌詞を書き始めました。

――歌詞面での“TRIGGERらしさ”は、どのように意識されましたか?

結城 これまでのTRIGGERは決意や矜持、いわば「We are TRIGGER」という表明が多かった印象です。今回は作品10周年だからこそ初心へ。彼らが「なぜステージに立つ人になったのか」という原点に焦点を当てました。ひとりで歌っても成立する歌詞なのですが、3人で歌えば個が、融合=フュージョンする。ステージに立っている人に最初憧れて、そして実際に自分が立つ人になって、誰かの夢になっていきたい、という歌です。

――山本さんは歌詞を受け取ってどのような第一印象を?

山本 本当に素敵な歌詞で、ものすごく共感しました。僕もそのステージに立つ立場なので、言葉は具体的ではないけれど、具体的に「わかる!」と思う箇所がたくさんありました。たとえば「開演を知らせてるベル 鳴れば心拍は準備を始めて」とか、まさにそうで。結城さんの歌詞を受けて、アレンジを変えた部分もあるんです。

――例えばどのあたりを変更されたのでしょう?

山本 サビのストリングスと後ろで吠えるギターの主張を強めました。ラップの部分は、歌詞とリズムを受け取って、これなら狂った感じのピアノが後ろにあったほうがカッコいいなと思って加えたり。

結城 そこ、ものすごくカッコいいですよね!

――ラップは当初から入れる設計だったのですか?

山本 TRIGGERの楽曲にラップっぽいものがあって、ものすごくカッコいいし、ぜひ取り入れたいと思いました。ただ、僕はラップに関してはわからない部分も多くて。そこでデモの中に「ここはラップです」とお知らせするためのサンプルを置いて、結城さんに託す形に……。

結城 受け取りました(笑)。そのサンプルが英語のラップだったので、英語で作詞をさせていただきました。

山本 もう、本当にカッコよくて感動しました。ほかにも心を揺さぶられた部分がいくつもあって、特に印象的だったのが、2回目の「開演を知らせてるベル」の部分。バックの音はまったくAメロじゃないのに、1番のAメロの歌詞をもう一度置くセンスに鳥肌が立ちました。ここはまた違う歌詞が来ると思っていたんです。けれど、もう一度最初の歌詞が来ることで、音の渦の中で初心を思い出す。この曲が描くストーリーが、鮮やかに立ち上がったんです。

結城 嬉しいです。まさにその意図で、今お話を聞きながらびっくりしています。曲を聴いて、自然とここで原点を思い出して、「開演を知らせてるベル」以外にないと思ったんです。曲が、私にそう書かせたのだと思います。

――歌詞制作で苦戦した箇所はありましたか?

結城 正直、ありませんでした。曲が素晴らしいので、私はそこに少し飾りを添える気持ちでした。「開演を知らせてるベル」もそうですが、曲から受け取ったパワーが強く、映像が頭にくっきり浮かんだので、それを書き留めていく感覚だったんです。

山本 そう言っていただけて、嬉しいです。

「やっぱり『アイナナ』は奇跡を呼ぶ」

――キャストの声が乗ったものを聴いて、いかがでしたか?

山本 僕はいつもキャストさんの声が乗るまで、自分の中で曲が半分しか完成していない感覚なんです。特に今回は、ラップを入れて正解だったのか最後まで悩んだし、不安もありました。でも、聴いて「大正解だった」と確信できました。Aメロもあえて派手に始めなかったので不安もありましたが、クールな立ち上がりが狙い通りで、自分の中で100%の完成になりました。

結城 3人の声がとてもまっすぐに、純粋に響いているように感じました。10年という節目に、この歌い方をしてくれたのか、それとも曲がそうさせたのか。実際のところはわからないけれど、3人の、あの頃も、そして未来の姿も感じさせる歌声に、ただただ嬉しくなりました。声が乗って、さらに生演奏になって、本当に素敵な曲になっていると思います。

――生演奏になったということは、録り直したのですか?

山本 そうなんです。バンド4人で楽しくやらせていただいて。

結城 デモの段階から「これが生になるらしい」という噂を耳にしていて、ワクワクしていました。仕上がりを聴いて、「暴れてる!」と思いました(笑)。最高です!

山本 ありがとうございます。収録は深夜0時から始まったので、いわゆる深夜のテンションでした(笑)。

――歌の難易度についても教えてください。どのあたりが難所でしょうか。

山本 Bメロですかね。

結城 そうですね。「透明な心を〜」のあたり。

山本 そうそう。「貴方に夢を見た」「透明な心を映して」周辺は、聴感上は自然でも、部分転調が入っていてかなり難しいと思います。ハモリも難度が高いので、レコーディングでは相当ご苦労があるだろうと思いました。

――とてもカッコいいセクションでした。

山本 僕自身も気に入っている箇所なんです。本当に素敵に歌っていただいて、ありがたいです。

結城 そのあとの流れもたまりません。

山本 「May I go?」の手前ですか?

結城 そうです! とっても素敵。

――この「May I go?」は、憧れの姿に向けてのセリフですか?

結城 そうです。歌詞の中にある「あなたに夢を見た」の「あなた」も、自分の憧れの姿なんです。僕も憧れのある場所に行ってもいい? というセリフを入れました。

山本 めちゃくちゃカッコいいフレーズですよね。

――お二人は他アーティストへの提供も多いですが、特に大切にしている点を教えてください。

山本 作詞をさせていただくこともあるのですが、作詞の場合は、もし作品がゲームなら可能な限りやり込んで世界観を把握して、一人称や「こういうときにこういう反応をする」とかを把握するようにしています。作曲では、台詞などを聴き込みます。声優さんが出せる音域と、その方が演じるキャラクターの声の音域は、必ずしも一致しないと思うんです。なので、「キャストさんが歌える」ではなく「このキャラクターが歌う」ことを前提として、そのキャラクターがもっとも映える音域を探して曲を作ることが一番大切なことかなと思っています。

――キャストではなく、キャラクターの音域を意識する、という視点は新鮮です。

結城 本当に素晴らしいです……!

山本 いえいえ。実は、男性アイドルの楽曲を手がけるのは、今回が初めてで。女性アイドルの曲はあるのですが。

結城 存じ上げています。好きな曲がいくつもあります。

山本 本当ですか! ありがとうございます。

結城 男性アイドルの作曲はいかがでしたか?

山本 手探りでした。「本当にこの低音域は出るのかな」とか。自分で歌ってみるけれど、声が低めの僕に対してTRIGGERの皆さんは綺麗で澄んだ声をされているから、うまくいくのかどうか、試行錯誤していきました。でも、その懸念していた部分も、皆さんとても素敵に歌ってくださっていて嬉しかったですね。

――結城さんは、アイドルの楽曲を手掛ける際にどのようなところを意識していますか?

結城 私は常に輝きを意識しています。キラキラ、ギラギラ、メラメラ、痛みを伴う輝きも含めて、アイドルを象徴する輝きを描きたい。アイドルの輝きに触れて嫌な気持ちになる人は、最終的にはいないんじゃないかと思いますから。

山本 「Empathy」も、TRIGGERのキラキラを感じる歌詞でした。

結城 ありがとうございます。そこは音からキラキラを感じたからこそですよ。

――キラキラした要素は、音としてはどのように表現を?

山本 サウンドでは、ベルやチャイム、グロッケン、インドチャイムなどを要所に使いました。人間の脳に“きらめき”としてピッと認識される音なので、乱用はせずに、出た瞬間に光るよう意識して。「透明な〜」の部分にも、使っているんです。でもこれは本当に偶然で「透明な」という言葉を入れたことで、音色が呼応したように感じるんです。ここも、歌詞を見て感動した部分で。

結城 嬉しい……! 私も、同じように思っていました。

――お二人は制作中にやり取りをしていないのに、ライブを思い描いたり、デビュー曲「DIAMOND FUSION」からヒントを得たりと、思い浮かべる絵に共通点がありますね。

山本 お話を聞いて、本当に嬉しかったし、楽しかったです。

結城 もう、びっくりすることばかりでした。やっぱり『アイナナ』は奇跡を呼びますよね。素敵なお話を聞けて嬉しかったです。

グループ記念日楽曲TRIGGER「Empathy」配信中!

TRIGGERが歌う「Empathy」が、グループ記念日である9月18日より配信がスタートしました!
配信スタートに合わせてリリックビデオも公開。
各配信サイトでのフルバージョンだけでなく、YouTubeでも是非お楽しみください。

「Empathy」を聴いて10周年を一緒にお祝いしましょう!

【配信サイト】
https://lnk.to/LZC-3204

アイドリッシュセブン 10th Anniversary Album "CARILLON" 2025年11月19日(水)発売!

アイドリッシュセブン 10th Anniversary Album "CARILLON"

IDOLiSH7, TRIGGER, Re:vale, ŹOOĻ
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アイドリッシュセブン 10th Anniversary Event 開催決定!

■アイドリッシュセブン 10th Anniversary Event "A10TiON PLEASE!!!!"
【会場】ぴあアリーナMM
【日程】
DAY 1:2026年1月10日(土)     17:00開場/18:00開演
DAY 2:2026年1月11日(日)     16:00開場/17:00開演
【出演者】
後日発表いたします。

■アイドリッシュセブン VISIBLIVE "HiGH TENSiON FUSiON!!!!"
【会場】ぴあアリーナMM
【日程】
2026年1月12日(月・祝) <昼公演>11:00開場/12:00開演
                         <夜公演>16:00開場/17:00開演
【出演者】
<IDOLiSH7>和泉一織、二階堂大和、和泉三月、四葉 環、逢坂壮五、六弥ナギ、七瀬 陸
<TRIGGER>八乙女 楽、九条 天、十 龍之介
<Re:vale>百、千
<ŹOOĻ>亥清 悠、狗丸トウマ、棗 巳波、御堂虎於
 
詳細はこちら:https://idolish7.com/10th_anniversary_event/

「アイドリッシュセブン」公式サイト:http://idolish7.com
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2025年記念日楽曲のインタビュー記事はこちら